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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

緋ぢりめんの緒、むらさきの革の緒。

火事頭巾の内側へは、一致して、鉢金を入れていた。着込みは、各※(二の字点、1-2-22)の好み、繻珍もある、緞子もある。

籠手、脛当も、すべての者が附けていた。上着はいずれも定紋附の小袖、その両袖に晒布を縫いつけていた。――味方同士の合印である。それへ、各自が姓名や生国年齢などを書きつけていた。

又ほかに、短冊形の金革に姓名と名乗を書いて、後襷に縫いつけていた者があるし、辞世の和歌とか俳句とかを誌している者もある。

襷には、大真田、緋縮緬、革、雑多であったが、すべてに、鎖が縒り合せてあった。

襟から懐中へかくれている糸の先は小笛。

上野介の首級を挙げた時――又退く時――そのほかの場合の合図に。

三、四名は、特に懐剣と早縄などを袂にしのばせていた。

忠左衛門は、公儀への口上書を差出す時に使用する新しい白扇一つと、ほかにもう一品、副将としての采配を帯びていた。

呼吸薬、気附薬は、糸で襟に結びつけていた。奮戦中にも口へ含めるためである。

血どめ薬、餅、焼飯なども少しずつ腰へ。

金子は各※(二の字点、1-2-22)が一両ほどずつ用意していた。