轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页
焦々とする気持は自から剣に出て、敵の一学はそれを見透かし、
(――寄って来たら)
と、二刀がふところを開けているのだった。
――だっと、勘平の足元で、床の落ちるような響きがした。彼の大きな体が廊下を踏み鳴らして敵へ躍ったのだ。
『しっ、しまった』
空間をのめッて、勘平は全身を逆さに持って行った儘、その大太刀で、座敷の四方柱へ斬り込んでしまった。
一学は、途端に、
(討った!)
と見たように、勘平の背へ大剣を振りかぶったが、富森助右衛門の槍がそうはさせなかった。十文字の光が、下頤からさっと鼻先をかすめて上へ閃めいてゆく。
かつん!
と、左手の小剣がそれを払う。
槍柄は断たれなかった。りゅうっと手元へしごいて又、突いて出る。何度も何度も、同じ光の放射が繰返されるのである。
助右のこの粘り方には、一学もややうるさくなったらしい。身を沈めて来た刹那に、一学の体が魚のようにしなやかに槍を宙へ突かせて、助右衛門の脛を薙いだ。
『――うむう!』
脛当の鎖が、刃を刎ね返したので、脚は無事なるを得たが、立っていられない痛さであった。――思わずそう呻いて、どすんと、助右衛門は坐ってしまう。