轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

討つ者も忠魂の一願、こうして、討たるる者も忠魂のただ一途。

華だ。――血も、雪も、刃も、眸も、すべてが、さむらいの道に磨き上げられてきた人道最高の道徳の華だった。

追い廻してはいるが、持て余し気味にもなって、いつ果つべくもなかったこの敵へ、

『敵ながらお見事。吉良殿の御内にも人ありと見受けられた。これは、浅野浪人堀部安兵衛武庸』

と名乗って、横合から駈けつけざま、一学の前に立った者がある。

(堀部?)

と、一学は汗に曇っている眸をみはった。

『のぞむ敵』

『ねがう相手』

声と声とがもう火を発しているのだ。一学の左の手にあった小剣は、言葉の下に、飛魚のように手を離れて、安兵衛の胸いたへ走ってくる。

その光が彼の後へ反れたと思うと、咄嗟にもう安兵衛の体と一学の体は、胸を押し合うほど寄り合って、鍔と鍔とが噛み合っていたのであった。

然し、踏みしめている雪に辷って、二つの体はすぐ旋舞を描き、間髪をねらう双方の刃が、双方の小袖を払い合った。

その襟もとへ、富森助右衛門の十文字槍が絡んだ。――あっと、清水一学の顔が宙へ向く。

その顔が、この世の雪の暁へ見せた、彼が最後のものだったのである。