轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
御堂の両側に、柳と菩提樹を植えて、手を洗いでいた上人の前へ、夫婦は、おそるおそる来て、大地に両手をつかえ、
「ありがとうございまする。……お上人様、なんとお礼を申しあげてよいやら、今はまだ、あまりうれしゅうて、ことばもございませぬ」といった。
上人は夫婦のよろこび以上に、大きな歓びにつつまれて、ほほ笑んだ。
「みなも帰った。おもとたちも、はよう家へ戻って、きょうから、家の中も、明るくするように努めたがよい。良人、妻、どっち一人の力だけでも、家は明るうならぬ。よいかの、心を共に協せて――」
「わすれませぬ」お吉は掌をあわせた。
すると、平次郎は、大地を摺り寄って、泣き濡れた顔を上げながら上人の袂へすがってさけんだ。
「――お救い下さいまし……お救い下さいまし。末永く」
「平次郎は何を悩む、おもとはもう充分に御仏の救いに会っておらるるのじゃ」
「では……私を、御仏のお弟子に加えてくださいまし。上人様のお弟子の端に」
「よし」――とすぐ上人はうなずかれた。そして、唯円房という法名を、彼のために選んで与えた。
九
唯円房――
唯円房――
いくたびも平次郎は口のうちでくりかえしてみる。