轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

――松虫といい、鈴虫という名も、局名とすれば、うなずける。

「――鈴虫様、これからどこへ行きますか」

「さ? ……どこでも」

「御所へ帰るのは、まだ早いし……」と、焦げるような空の陽を仰いで、

「なんだか、少しの刻でも、惜しい気がしますものね」

二

「せっかく、きょう一日、お暇をいただいたのですから、日いっぱい、歩けるだけ、歩いてみようではありませんか」年下の鈴虫は、そういって、羅の被衣に、埃まじりの風をなぶらせながら、子供っぽく、走ってみたり、道ばたの清水を、手で掬ってみたり、

「おお冷たい!」そして――

「飲めないかしら?」と、愛くるしい首をかしげて、友を見た。

「ホホホホ。誰も見ていないから、どんなことして飲んでも、笑う人はありませんよ」松虫がいうと、

「じゃあ」と、鈴虫は、手でそれを掬って、唇から顔を、雫で濡らし、その顔を、被衣の端で拭いた。

そんなことが、二人には、わけもなく楽しかった。御所の日常が――禁裡の後宮生活というものが――まったく儀式化され、粉飾化され、そこに生きるものは、ただ、美しくて作法のよい人形のようでしかなかったので、二人は、野の土へ、解放された羊のような欣びを、感じるのだった。