Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
この地へ帰ってきたばかりの所でございます」
「ホ……恩師ご帰洛のために、都へ上ってお帰りの途中とか。……それは、よい者に会いました。――して法然様には、都へご安着の後、いずれにお渡りあらせてか。元の吉水にお住いか、それともほかに」親鸞の懐かしむ様子に、
「ちょっとお待ち下さい」と、明智房は、暗い顔して、うつ向いた。
「……その儀につきまして、実は、都において席のあたたまる遑もなく、あなた様へ、お使いを齎すために、私はすぐ東海道をいそいで下ってきたのでございます。――あなた様のご一行が、木曾路の雪に引っ返して、碓氷へ出たという善光寺からの便りを手にいたしましたので」
「え?」親鸞は、いぶかしげな眼をみはって、
「――では、おもとが下られたのは、この親鸞へ、お使いのためにですか」
「そうです」
「師の法然様から?」
「いえ――」と、明智房は、いよいよいい難そうであったが、
「法然上人からではございませぬ。――安居院の聖覚法印から」といって、あわてて旅包みを解き初めた。そして、取り出した一通を、親鸞の手へ差し出すと、
「仔細は、このお文に」と、口をつぐみ、そのまま、後へ退がって、ぱらぱらとこぼれる松の雫を背に浴びていた。