Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
七
――ところが来てみると、年景には、妻子もあるばかりか、国府の住居には、幾人もの側女がいて、その人々が、めいめい、年景の寵を争うので、嫉みぶかい女同士の争いが、絶えたこともございませぬ」
「そうか……」親鸞は、領民たちの呪詛の声と、年景の生活のさまとを思いうかべて、うなずいた。
「――でも、この遠い国へ来ては、どうする術もございません。幾年かを忍んで参りました。けれど、忍ぶにも忍べない日がついに参りました。年景は、わたしに飽いて、酷くあたります、ほかの側女たちも手をたたいて事毎に告げ口する。あろうことかあるまいことか、年景の召使で、蜘蛛太という侏儒と、わたくしが、不義をしているなどと云いふらすではございませぬか」
「蜘蛛太?」と親鸞は小首をかしげた。
「お上人様など、ご存じある者ではございません。その侏儒の蜘蛛太という者は、わたくしが京の六条にいたころから、よく町をうろついていた者で、主人を失って、路頭に迷っているので年景にたのんで、その越路へ来る折、雇い入れてもらった男なのでございます。――ですから、蜘蛛太は、わたくしには親切にしてくれます、共に泣いたり心配してくれます。