Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

五

ただ一言、

「皆に、心労をかけましたのう」といった。

「……何の、お健やかなご様子さえ拝せば、私たちの苦労はすぐ解けてしまうものでございまする」性善坊は、はらり落つる涙を掌にうけて、答えた。剛毅な覚明すら、久しく離れていた嬰児が母のすがたを見たように羞にかんでいるのであった。

五

麓の白川口には、一輛の輦が待っていた。二人の稚子と牛飼の男が、そばの草叢に腰をすえて、さびしげに雲を見ている。

そこは、志賀山越えと大原道との岐れ目であった。一面の琵琶を背に負い、杖をついてとぼとぼと志賀の峠から下りてくる法師があった。足もとの様子で盲人と見たので、草の中から稚子が、

「琵琶法師さん、輦があるよ」と、気をつけてやる。

盲の法師は杖をとめて、

「ありがとう」背を伸ばし、空を仰いで、

「どなたのお輦ですか」

「聖光院の御門跡さまが、山をお下りになるんです」

「あ! ……。範宴どのが、山を離れられるとか」

「御門跡さまをご存じですか」

「月輪公の夜宴でお目にかかったことがあります。そうですか、やはり、離山なされることになったか。そうなくてはならないことでしょう。……範宴少僧都の君をことほぐために、一曲奏でたい気持さえ起るが、ここは路傍、やがての事にいたしましょう。