Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
二
「お気づかい下さいますな、幸いにも、善信は、幼少から身を鍛えておりますほどに」
「む。……おん身が歩まれてきた今日までの艱苦の道を思えばの」
「このたびの流難などは、ものの数でもございませぬ」思わず話し込んだことに気づいて――
「玉日」と、善信は妻をかえりみ、
「支度いたそう」といって、奥へ入った。
一室のうちで、善信は法衣を脱いだ。朽葉色の直垂衣に着かえ、頭には、梨子打の烏帽子を冠る――。
玉日は、その腰緒を結んだり、持物をそろえて出したりしながら、さすがに涙があふれてきてならなかった。こうしている間が、二人だけの別れを惜しむ間であったが、何も、いえなかった。
「……お健やかに」と、だけいって、良人の足もとへ、泣き伏した。
「房丸をたのむ」
「はい……」
「お舅君へ、わしに代って、孝養をたのみますぞ」
「はい」
「配所からでは、便りもままにもなるまい。たとえ幾年、便りがのうても、この善信には、御仏の加護がある、必ず案じぬがよい。……憂いのおこる時は、念仏の怠りを思え。越路の空で善信がいう念仏に、心をあわせて、おもとも、都にあって念仏を申されよ。毎日を法悦のうちに、楽しんで送られよ。