Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
女人篇
風水流転
一
許しをうけて、その大蔵の暗闇にはいった範宴は、日も見ず、月も仰がず、一穂の燈し灯をそばにおいて、大部な一切経に眼をさらし始めたのである。
ふつうの人間の精力では五年かかっても到底読みつくせないといわれている一切経を、範宴は五ヵ月ばかりで読破してしまった。おそらく眼で読んだのではあるまい、心で読んだのだ、そして充血して赤く爛れた眼と、陽にあたらないために蝋のように青白くなった顔をもって、大蔵の闇から彼がこの世へ出てきた時には、世は木枯しのふきすさぶ建久七年の真冬になっていた。
女人篇
風水流転
一
暗黒の大蔵の中から光のなかへ、何ものかを自分はつかんで出たと信じた。五ヵ月ぶりで一切経の中から世間へ出た時の範宴のよろこびは、大きな知識と開悟とに満たされて、肋骨のふくらむほどであった。
(もう何ものにも迷うまい)彼は、信念した。
(もう何ものにも挫けまい)彼は足を踏みしめた。
そして心ひそかに、
我れこの世を救わん
の釈尊の信願をもって自分の信願とし、雪の比叡へ三度目にのぼったのである。
仏祖釈迦如来は、大悟の眼をひらいて雪山を下りたという。彼は、新しい知識に信をかためて伝統の法城へ勇躍してのぼってゆく。