Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
七花八裂
一
もっとも只今では、聖護院の印可をうけ、名も播磨房弁円とかえて、山伏となっておりますが」
「なに、山伏じゃ」と、異様な彼のふうていを見直して――
「山伏たる者が、何でさような姿をし、山刀など差して、お山をうろついているか」
「ゆうべの夜中から、鹿ヶ谷の奥峰から山づたいに参ったので、麓にある山伏の行衣を取り寄せて身にまとう遑もなかったのでござる。それゆえに――」
「待て、いちいちいうことが不審である」
「そのご不審は、座主にお目にかかってお話する。座主がお会いできなければ、それに代わるお方でもよろしい」傲岸な態度である。
しかし、狂人ではないらしい。僧たちは、執事までありのままに取り次いだ。――鹿ヶ谷からと聞いて首をかしげたが、とにかく会ってみようという。
それから、弁円は、足を洗って、一室へ入った。人を遠ざけての密談で、なにか長い時間そこを出なかった。それのみか、中堂からは、にわかに使いが走り、主なる長老や叡山の中堅が二十名も集まってくる。
――何事が起るのか、末輩には分らなかったが、やがてその日の夕方には、弁円は一人麓に降りて、かねて預けておいた所から笈や服装をとりよせて、元の山伏にかえり、京の町を大股に急いでいた。