Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

六

いつか涙の白いすじが、彼のすさまじい求法の一心を焚いている眸から溢れて、滂沱として頬にながれ落ちるのであった。

六

雨に洗われた路面は泥濘をながして白い小石が光っていた。樹々の芽がほの紅くふくれ、町の屋根にはうすい水蒸気があがっている。

範宴は、歩いていた。生々とした朝の町に、彼の顔だけが暗かった。力も、目標もない足つきだった。

「この大願が解決されねば、生きているかいはない」と思いつづけていた。

ゆうべは、宵の騒ぎで、すでに大乗院を出る時刻が遅かったので、けさは、六角堂で夜が明けてしまったのである。もうこうして、ひたむきに山から通うことも昨夜で九十九夜になる。

「何を得たか?」範宴は、依然として、十万暗黒のうちに自分の衰えつかれた姿を見出すだけだった。往来の人とぶつかっても気がつかない、輿を荷担ってくる舎人に呶鳴られても気がつかない、物売りの女が怪しんで、気狂いらしいと指さして笑っているのも気がつかない……。

今朝の彼は、気狂い僧と見られても無理がなかった。法衣は、ゆうべの雨で河水に濡れてまだよく乾いてもいないのをそのまま着ていた。その裾も破れているし、足はどこで傷ついたのか血を滲ませているのである。