Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
三
――遺書をのこして、出て行った者を、おまえらは、笑って見ているのだな」
「…………」
「どいつも、こいつも、なんという薄情な奴ばかりだ。山吹は、もう死んでいるかもしれない」年景は、こううめいて、自悶に耐えられぬように、
「――ああっ、彼女は、もう死んでいるかも知れない。おれは心から彼奴が憎いわけじゃなかった。おまえらがなんのかのと讒訴をするので、おれも疑いの目で見初めたのだ。山吹はおれを恨んで死んだに違いない」また――ごろりと仰向けになる。そして側女が出した杯を引ったくるように取った。こういう場合の年景に、酒が入ることは、炎に油をそそぐようなものであることを、側女たちは常に知っているので、めいめい、眸のそこに、おどおどと戦慄を持っていた。
「つげッ」と、飲みほした杯をつき出すので、ひとりがこわごわ、銚子を近づけると、
「この、おべんちゃら」ついだ酒を、その側女の顔へ、浴びせかけた。
杯はまたすぐ、べつな側女の顔へ、独楽みたいに飛んで行った。
「この毒草め、どいつもこいつも、皆、毒の花だ。みすみす、おまえたちと朝夕ひとつに暮していた山吹が、遺書して出て行ったのに、のめのめ見ごろしにするという法があるか。