Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
三
善信はただ黙然と聞き終って、
「傷口に風を入れてはならぬ。大事にされよ」と、いった。師の房がなにもいわないにしても、その夜の人々は、生信房の話を聞いて、大きな感激につつまれたらしい。みな敬虔な面持ちをたたえて、
「さ、お寝みなされたがよい」と、生信房をいたわった。
幾日かたつと、その傷口も癒え、体の熱もさがった。生信房は、はればれと床を出て、あしたはまた、町へ布教に出たいなどと友と話していた。
「生信房どの、お師さまが、お呼びになっていますぞ」
「え、お部屋で」
「いや、あの岩にお腰をすえられて」
「あ……」と、生信房は、庵室の裏のほうへ眼をやって笑った。師の房は、外で、初冬の陽ざしを楽しんでいるのだった。
「およびですか」そこへ行くと、
「お掛け」と、気がるである、師の房の顔までが、きょうは小春日の太陽のようにかがやかしい。
「もう傷口は」
「すっかり癒りました。ご心配をおかけしてすみません」
「さて、それについてじゃ」――と、善信はことばを改め、
「生信房、おことの身にも、ようよう念仏の光がついて参られたの。いつぞやの話――善信もありがたく聞きました。よい御修行をなされたことを、わしも共々に欣びましょう。