Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

法敵篇

氷柱の下

一

心蓮は、水洟をこすって、

「宿をとればよかった……」と、悔いを洩らした。

一日も早く帰りたい――師の房の顔を見たい――友の声も浴びたい――と矢も楯もなく立ってきた彼の気持が、この深夜をも、ひた向きに、京へと足を急がせてきたのであったが、無理だった、体に微熱があるせいか、脚がだるい、鼻のしんが風に痛む

立ちどまれば、風は、裾を吹いて、よけいに悪寒がしてくるし、果ては、坐ってしまいたくさえなる。

わんッ、わんッ――どこかで、猛々しい犬の声がした。静寂をつんざいて、幾声もつづく。

「おや?」凡の犬の声とも思えないのである。畜生の吠えるうちにも喜怒哀楽はあるものだ。心蓮は、釘を打ちこまれたように、犬の傷む心を、共に傷んだ。

「――この林には、家も見えぬが?」彼は疎林の中へ入って行った。まだ葉を持たない痩せた雑木が、どこまで行っても、同じような密度と芝地の肌を見せてくる。

がさ、がさと、心蓮の足に、落葉が踏まれてゆくのが、敏感な動物に、人間を感じさせたものとみえ、やがて不意に間近な樹蔭から、

――わ、わ、わんッ!

発狂しているような犬の声が猛り立った。

「オオ」