Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
二
そのため、御庵室へ詣でたいと思っても、有難いお教えを聞きたいと願っても、良人のひとの手前、いつも思うにまかせませぬ」
「ム……」親鸞はうなずいて、
「さだめし、良人の気に入るには、なかなかご苦労がお在そうのう」
「い、いいえ……」お吉は、こんなやさしい言葉を初めて人の口から聞いた。村の人々も、自分を知ってくれる者は皆、なぐさめてはくれるが、親鸞の短いことばのうちには、何か胸を衝くような慈悲大愛の温かい息がこもっていた。張りつめていた胸の氷が溶けるように、彼女はつい、ほろほろと涙をこぼしてしまった。
「お内儀」
「はい」
「お身ひとりが、苦患の底に苦しんでいると思われるなよ。お身の貞節、お身の苦しみ、みな御仏も御覧ぜられている、この親鸞も、よう見ております。……なんぞ思いあまることなとあるなら、ちょうどよい折じゃ、わしに話してみるがよい」
「……有難うございます」お吉は、畳へひれ伏したまま合掌して、
「この身に負わされた約束事と思うておりますから」
「それではならぬ、約束事、宿命と諦め、ただそれのみで抑えていては容易に、心は安らぐまい、かよわい女の身、もっと心持を楽におもちなされ、この親鸞とて、そなたと変りのない凡夫じゃ、愚人じゃ、ただ何事も御仏と二人づれなればこそ、こうして、気づよくもおられまする。