Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
四
だが、加茂の堤に出ると、咸陽宮の唐画にでもありそうな柳樹の並木に、清冽な水がながめられて、冷りと、顔へ、濡れ紙のような風があたる。
「ここらでよかろう」二人は堤に坐った。汗くさい文覚の破れ衣に、女郎花の黄いろい穂がしなだれる。
「しばらくだなあ」弥太がいうと、
「無事か」と、文覚もいう。
「いや、俗身はそこもとのように、なかなか無事ではない」
「俺とても、同じことだ」からからと、文覚は、笑って、
「聞かぬか、近頃の噂を」
「今日、京都へついたばかり。何のうわさも聞いておらぬ」
「そうか。……実は、神護建立の勧進のため、院の御所へ踏み入って、折から、琵琶や朗詠に酒宴していた大臣どもに、下々の困苦の呪い、迷路の呻きなど、世の実相を、一席講じて、この呆痴輩と一喝した所、武者所の侍どもに、襟がみ取って抛り出され、それ、その時の傷や瘤が、まだこの頭から消えておるまいが……」イガ栗の頭を撫でて、笑いながら示すのだった。顔の凸凹に腫れ上がっているのも、その時の棒傷であったらしい。
四
文覚は、まだ十九の頃に、若い髻を切って、大峰、葛城、粉河、戸隠、羽黒、そしてまた那智の千日籠りと、諸山の荒行を踏んできた、その昔の遠藤武者盛遠が成れの果てであった。