Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
五
一言でも、大事の秘密を聞かれた時は、秘密に与すか、秘密に殺されるかどっちか二つに一つを選ばなければならない――。範綱はそれに迫られて、自身の窮地を感じるとともに、上は、法皇の御危険なお立場と、小さくは、奥の北殿に、はや平和に眠ったであろう幼い二人の者と、薄命な弟の若後家の境遇を、考えずにはいられない。
「……ご返辞のこと、一両日、お待ちねがわれまいか」
「ご即答は、できぬとか」蔵人の手は、太刀をにぎっていた。ただの握りかたではない、微かなふるえすら現しているのである。
「法皇に仕え奉つる身、法皇のおこころのほども臣として――」いいかけると、
「あいや、六条どの、その儀ならばご懸念はいらぬ。秘中の秘、いいのこしたが、実は、当日の謀議には、上皇にも、おしのびにて院をお出ましある手筈……」その時、家の外で、樹の枝でも踏み折ったような音が、ばりっと寂な夜気をやぶって、この三人の耳を驚かした。
「やっ? ……」右衛門尉は、太刀のこじりを立てて、中腰になった。
五
一瞬のまをおいて、
(曲者っ――)と、ふたたび遠い所で誰やらの声がした。
ばたばたと屋外で――今度はやや間近な窓の下あたり、烈しい跫音が駈けた。