Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
九
――その時またちょうど、村へ来ていた修験者が、病気ならわしにまかせろ、きっと癒してやるというので、加持祈祷に、夫婦も共に、精を打ちこんで、病児の恢復を祈っていたところ、病気は日ましに悪くなって、とうとう死んでしまった。
それからである――平次郎の気が急に変ってしまったのは。
(神も、仏も、あるものか。あいつらあ、神とか仏とか、ありもしねえ嘘ッぱちをいい触らして、飯のたねに、食い歩く山師だ)
仏壇も、神棚も、平次郎は川へ運んで行って流してしまった。
それからというものは、急に、酒は飲むし、飲めば酒乱になる。そして、仕事はろくにせず、すこし余裕があれば、博奕、女狂い、喧嘩、手がつけられない人間になった。
お吉は、良人の気持を、無理もないと思って、初めは素直にしていたが、元より貧しい職人の世帯である。折にふれて何かいうと、平次郎は、ふた言めには、
(出て行けっ)であった。彼女の体には、生傷がたえなかった。けれど、
(今に――今に、眼がさめる日も……)と、お吉は、貞節を守りとおしてきた。なんと怒られても、疑われても、彼女は、心のうちに、じっと涙をのんできた。
それも久しい年月である。