Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
五
「うぬは何だ」賊がいうと、僧は静かに、
「範宴である」と答えた。
「えっ」思わずたじろいで、
「範宴? 聖光院の範宴か」
「さよう」低い声のうちに澄みきったものがある。その澄みきった耳は最前からの物音を知らぬはずはないが、その態度には小波ほどの愕きも出ていなかった。
五
「お身たちは何者か」範宴の問いに対して賊たちは賊であることを誇るように答えた。
「盗人よ」
「ほ」半眼を閉じていた眼をみひらいて範宴はまたいった。
「盗賊なれば、欲しい物さえ持って行けば、人を殺めるには及ぶまいが」
「元より、殺生はしたくないが、この堂衆めが騒ぐからよ」
「騒がぬように、わしがいい聞かせておくほどに、そちたちは、安心して、仕事をしてゆくがよい」
「こいつが、うまいことをいう。そんな古策に誰が乗るか。油断をさせて、鐘を撞くか、山法師どもを呼び集めてこようという肚だろう」
彼らは当然に信じなかった。そこの様子を聞いて頭領の四郎は、範宴を本堂へ連れてこいと伝えてきた。手下どもは彼の両手を捻じあげて立てと促した。悪びれた様子もなく範宴は引ッ立てられてそこを出て行くのである。天城四郎はといえば、本堂にあって、経櫃の上に傲然と腰をおろし、彼の姿を見ると突っ立って、頭から一喝をくらわした。