Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
六
すると、一人若い女房が、かいがいしく、着物の裾を端折って、
「もし、皆さま。どうか私にも、その綱の端など、つかまらせて下さいまし」といいながら駈け寄ってきた。皆は、振向いて、
「やあ、河和田のお吉さんか。――また、見つかると悪いぞ、止したがいいぜ」と、遮った。
年老りたちも、皆いった。
「ほんに、お前さんの良い心もちは不愍じゃが、見つかると、わしらまで、後で怖ろしい目に会わされるでの」
「そうじゃ、やめなされ、やめなされ」お吉は、拝むように、そういって拒む人たちへ、なお縋った。
「いいえ、今日はもう、洗濯物もすみました。夕餉の支度から、うちのお良人のお酒まで買っておいて、なにからなにまで済まして、ほんに用のない体でございます。昼寝などしていては勿体ないし……どうぞ後生でございますから、私にも、ご造営のお手つだいなどということはできませんが、せめて、その綱の端でも持たせて下さいまし……。この通り、拝みまする、たのみまする」涙さえ浮かめていう。その気持にうごかされて、
「では、なるべく早う、家へ帰っておらっしゃれ」と、人々はいたわりながら、彼女を仲間に入れてまた、材木を曳いていた。