Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
四
四
山蔭の土牢の口には、雑草が蔓っていた。じめじめとした清水が辺りを濡らしていた。
牢の口は、そこらの木を伐って、そのまま組んで頑丈に組んである。誰やら、暗い中に、人影がうごいているようだった。
ふつうの音調を失って、獣じみた声で、何かいった者は、その土牢の中の人間で――
「そこへ来たのは、十八公麿ではないか。やいっ、耳はないのかっ」と、叫ぶのである。
もう忘れていた幼名を呼ぶばかりでなく、悪気のこもった罵り声に、範宴も性善坊も、ちょっと、胆を奪われて立っていた。
すると、牢の内からする声は、いよいよ躍起となって、
「俗名を呼んだから返辞をせぬというのか。だが俺は、いくら貴様が、入壇したからといっても、まだ乳くさい十歳やそこらの洟ッ垂れを、一人前の沙門とは、認めないのだ。――座主が、いくら勿体らしく大戒を授けても、一山の者が、座主におもねって、盲従しても、俺だけは、認めないぞ」そう一息にいって、また、
「だから俺は、十八公麿と呼ぶ。――貧乏公卿のせがれ、なぜ、返辞をせぬのか。――がたがた牛車で、日野の学舎に通ったころを忘れたのか。いくら澄ましても、俺のまえでは駄目だぞ、何とかいえっ」