Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

九

九

やがて、鷹司卿が、

「使僧」と、よんだ。

「は」範宴は顔をあげた。

「おもと、何にても、師の慈円にかわって、答え得るか」

「師のお心をもって――」

「うむ」うなずいて少し膝をすすめ、

「さらば問うが、不犯の聖たる僧正が、あのような艶めかしい恋歌を詠み出でたは、そも、どういう心情か」

「僧も人間の子にございますゆえ――」

「なんじゃ」大胆な範宴の答えに、諸卿は色をなして、

「――では、僧正も人間の子なれば、女犯あるも、恋をするも、当りまえじゃと、おもとはいうか」

「さは申しあげませぬ」

「でも今、僧正も人間の子なればと、返答したではないか」

「いかなる聖、いかなる高僧といえ、五慾煩悩もなく、悪業のわずらいもなく、生れながらの心のまま白髪になることはできません。大地はふかく氷を閉ざしても、春ともなれば、草は萌え、花は狂う。その花もまた、永劫に散らすまいとしても、やがて、青葉となり、秋となるように。――これを大地の罪といえましょうか、大いなる陽の力です、自然の法則です」

「さような論は、云い開きにはならぬ、いよいよ、僧正の罪を、証拠だてるようなものじゃ」

「しかし」範宴の頬には若い血が春そのもののように紅くさした。