Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
二
「犬は?」と、弁円のうしろを見て、
「あの黒犬は連れていないのか」
「ウム」
「死んだのか、かわいそうに」
「いや、斬ってしまった」
「誰が」
「元よりおれがだ」
「飼主が飼犬を斬った、むごいことをする男だ」
「四郎、おまえでも、酷いということを知っているのか」
「人間は、勝手放題な真似をしたあげくだから、殺された奴でも、そう酷いという気はしない。――だが、犬なんぞは、ろくな思いもしていないし」
「はははは。おかしな感情を持っている男だ」
「なぜ斬ったのだ」
「忌々しいことがあったからだ。聞いてくれ、こうだ」堤の上に、腰をおろした。すすきや秋葉の枯れたのが、根に霜を持っているのか、腰の下でばりばりと折れる。
「この春先だ。まだひどく寒かったよ。おまえと別れてから間もなく、おれは、例の善信の奴が、岡崎の草庵を出て、難波から河内のほうへ旅に出たのを知ったから尾けて行った。そして、磯長の太子廟に夜籠りをしたのを知ったから、こよいこそと、忍び寄って、善信めを斬ろうと計ったところが、あの連れている犬のやつが、縛っておいた縄を噛みきって、大事な刹那に、堂の中へ飛び込んできたろうじゃないか」