Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
十二
父の義親や、従兄の義朝が殺した人間の数だけでも、千塔万塔を建ててもおよばぬくらいな罪業であろう。その血統の末に、ひとりの唖の子が産れるぐらいは、諸行応報のさばきから遁れ得ない人間の子としては、むしろ慈悲のお酬いと、有難く思っていいのではないか。彼女は、そう考え直した。
だが、母性としての悲しみは、依然として、悲しみであり、世間へも良人へも、いいしれない負け目を感じて、その憂いは拭うことができなかった。
十二
ともあれ今の吉光の前自身なり、有範の家庭というものは、謙譲にして清楚な、足るを知って不平を思わない生活を持して、ひたすら、精神の位置を、信仰と、そして、夫婦愛と、子の愛育とに置いて、いわゆる世間の名聞利慾からは遠く離れて住み澄ましていたのであった。
で――朝にも夕べにも、この館の持仏堂には、一刻のあいだ、有範夫婦のたのしげな念仏の唱名がもれる。
また、それに慣って、若い郎党の侍従介も、顔をあらい、口を漱ぐと、太陽を礼拝して、
「…………」黙然と念仏する。
下婢も、そうであった。乳母も、そうであった。水を汲み、使いに走る童僕までがそれを習うようにいたって、この古館は何か、燦然たる和楽につつまれているかのように、他人からも羨ましく見えるのであった。