Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
五
「…………」国時は、考えこんだまま、即答を与えなかった。親鸞は、足を運びかけて、
「では、大内殿。旅の支度もあるで、わしは、今日はこれで戻ります」
「お戻りか」国時は、顔を上げて、五、六歩親鸞のあとに尾いて送って行きながら、
「ただ今のおことばによって、今日の罪人は、宥してつかわすことにいたしまする」といった。親鸞は、自分のことのように、
「かたじけない」と、足を止めて、国時へ向って頭を下げた。
親鸞が戻って行くと、間もなく、城主の国時も館へ帰って行った。
大工棟梁の広瀬大膳と、奉行の藤木権之助は、
「命冥加な奴めが」と、捕えておいた河和田の平次郎の側へ来て、懇々と、説諭を加え、
「上人の有難いお旨を、忘れるでないぞ」と、いい聞かせた上、縄を解いて、放してやった。
「へい」平次郎は、神妙そうに、頭を下げて、逃げるように、丸太足場の上へ登って行った。――だが、役人たちの眼から離れると、彼はすぐいつもの兇悪なひねくれ者に返っていた。
「ちぇっ、ふざけやがって。誰も生命を助けてくれとはいやあしねえ、おれがいなくっちゃ造営の仕事に困るから助けて置くんだろう、それを恩着せがましくいやがって笑わせるな」