Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
四
何の怪しいふしも発見できなかった。だが、弁円は、干飯を噛みながらも、そこを去らなかった。
なぜならば、一人が病気のためと触れているのに、住蓮も安楽も健在でそこにいることを確かめたからだった。
「臭い。どうもここよりほかにない。見ておれ、今にあばいてやるから」彼の執着心というものは幼少からの持ち前といっていい。思いこんだことにはどんな蹉跌があろうと屈しないのだ。それは彼が寿童丸とよばれた昔から持っている善信(親鸞)への呪詛と報復とを、今になっても金輪際捨てていない異常な粘り方と根気を見てもわかるのである。
「おや……誰か出てゆくぞ……こんな深夜に」四日目の晩だった。法勝寺の裏にひそんでいた弁円は、星明りの下に一つの人影を見つけた。頭から衣をかぶっていてよくわからないが住蓮らしい背かっこうである。
尾行てゆくと、麓へではなく、住蓮は鹿ヶ谷からなお上の山路へ一人で登って行くのだった。手になにやら包みを提げている。非常にあたりを憚るような挙動なのだ。
(しめた!)という気持が弁円の胸をいっぱいに躍らせていた。勿論、住蓮はそういう犬がついて来るとは知るよしもなかった。