Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
四
「人前も無う、九条殿の法師聟と、その嫁御寮とが、一つの輦で通ってゆくぞ」
「気でも狂うたのか」
「果報すぎて――」
「いや、仏罰で」
「気ちがい聟!」
「破戒僧っ」
「地獄車よ!」追っても追っても、輦の後から蛆のように群集は尾いてくるのである、そして、辻にかかるほど、その数は増した。
花頂山のいただきも、粟田山も、如意ヶ岳も、三十六峰は唐の織女が繍った天平錦のように紅葉が照り映えていた。空は澄むかぎりな清明を見せて、大路から捲きあがる黄いろい埃が、いくら高く昇っても、その碧さに溶け合わないくらいであった。
輦の先に立ってゆく、牛方と、侍とは、額を黒い汗にして、
「退けっ」
「道を開け」
「往来の邪げする者は軌にかかっても知らぬぞよ」鞭を上げてみせたり、叱咤したり、一歩一歩、轅をすすませて行くのであったが、衆は、衆を恃んで、そんな威嚇に、避ければこそ、
「あれみろ!」と、指さして、町の天狗のように、わあわあと嘲笑う。
「あの、法師の顔は、どうじゃよ。真面目くさって、白金襴の法衣をまとうて清浄めかしているけれど――」
「夜は、どんな、顔することやら……」
「女性も、女性」
「よくよくな、面の皮よ! 二人ともに!」