Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
四
石念はふと、
「お師さま、お机の端に、雪が積もっております、すこしお立ち遊ばして下さい、掃除いたしましょう」
「机ばかりか、膝までもじゃ。夜半にはもっと降るかも知れぬ、このまま溶けねば、よい燈火になる、そっとして置こう」善信には、机の雪が愛されて、払い捨てるに惜しい気がした。雪を見ていると、叡山の苦学や、法隆寺の苦行や、若年の修学時代が思い出されるのだった。――今もその心は失ってはいないが、幸いにまた、失うまいとする心がけもあった。
その時、磊落な声が表の軒下で聞えた。――と思う間に足音大きく上がってきたらしい。
「や、西仏どの、お帰りなされませ」と、室内の者がいう。西仏は、
「寒いのう、今夜は」と言って、すぐ思い出したように、
「そうだ、町の者に聞いたが、生信房が怪我をしたというではないか。生信房は、どうしてござるの」と、何気なく言った。
「しっ……」と、そこにいた者は、奥の師の耳を憚って、手を振った。
「え? ……」西仏は、眉をひそめ、
「怪我は、そんなにおもい様子か」困った顔して、
「奥には」と、もいちど、手を振って見せた。だが、その声はすぐ、善信の耳へはいってしまった。