Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
八
「さあ?」と鷹司卿はまた、冷泉大納言のほうを向いて、
「おわきまえか」と訊ねた。
「されば、あの僧は、亡き皇后大進有範の子にて日野三位の猶子にてとか」
「ほ。藤原有範の子か」基通は、黙った。
公卿たちの頭には、姓氏や家門というものが、人を見るよりも先に支配する。
無名の者の家の子なら、大いに蔑んでやろうと思ったかも知れないのである。
「そうか、有範の子か」囁きがその辺りをながれた。時刻を指示してあるので、公卿たちは、衣冠をつらねて、範宴の参内を、待ちかまえていたところであった。
やがて次々から、関白まで、取次がとどく。基通は、またその由を、御簾のうちへ奏聞した。
一瞬、公卿たちは、固唾をのむ。末座遠く、範宴のすがたが見えた。いっせいに、人々の眼が、それへ射た。
人々は、はっと思って、
(不作法者っ)と顔色を騒がせた。
なぜなら、ふつう、初めて参内する者は、遠い末席にある時から、脚はおののき、頸は、俯向き、到底、列座の公卿たちを正視することなどできないものであるのに、範宴少僧都は、怯じるいろもなく、砧の打目のぴんと張った浄衣を鶴翼のようにきちんと身に着け、眸を、御簾から左右にいながれる臣下の諸卿へそっと向けて、二歩三歩、座のところまで進んできた。