Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
四
「けがらわしい」とその手を払った。
今度は、ほんとに怒って、遊女は性善坊の胸ぐらをつかまえた。
「何がけがらわしいのさ」
「離せ、僧侶に向って、不埒なまねをする奴だ」
「ふン……だ……」と、遊女は嘲笑のくちびるを、柘榴の花みたいに毒々しくすぼめて、
「坊さんだから、女は汚らわしいっていうの。……ちょッ、笑わすよ、この人は」と、家のうちにいる朋輩の女たちをかえりみて、
「あそこにいる花扇さん、その隣にいる梶葉さん、みんな、坊さんを情夫に持ってるんだよ。私のとこへだって、叡山から来る人もあるし、寺町へ、こっちから、隠れて行くことだってあるんだよ」
「人が見る。離せ」性善坊が、むきになっていうと、
「そう。人が見るから、いけないというなら、話は分っている。人が見てさえいなければいいんだろう。……晩にお出で」と、女は、胸ぐらを離して、性善坊の肩をぽんと突いた。
泥濘に足を落して、性善坊は、脚絆を泥水によごした。
「こいつめ」いち早く、家の中へ逃げこんだ女を追って、何か罵っていると、露地の外で、
「性善坊――」範宴の呼ぶのが聞えた。
「はいっ」彼は、大人げない自分の動作に恥じて、顔をあからめながら、往来へ出てきた。