Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

日野善信

一

乳のみ児の世話や――配所へ送られる良人への心遣りに――妻の玉日の前は、ゆうべは、一睡もしなかったはずである。

だのに――せまい厨のほうでは、もう貧しい燈をともして、彼女が、乳のみ児の房丸が眠りからさめない間にと――朝餉の支度をしているらしい。

陶器ものを洗う音やら、炊ぎの支度する気配が、静かに、そこで聞えた。もうこのごろは、水仕業に馴れているとはいっても、月輪の前関白家に生れて、まったく深窓にそだった彼女が――と思うと、

(不愍な)と、ふと、あたりまえな人間のもだえるような悶えを、善信も感じずにはいられなかった。

――と、草庵の外に、二つの人影が、跫音をひそめて近づいて来たかと思うと、

「師の房ではござりませぬか」と、声をかけて、縁先の大地に、ひたと両手をつかえた。

見るとそれは、今は東塔の無動寺にいる木幡民部と、性善坊の二人だった。

「おう」善信の顔に、微笑が泛いた。刻々と明るんでくる夜明けの光が、彼の顔からすがたを見ているうちに鮮やかにしてきた。

「久しいのう。……それにしても、勅勘の流人が門出へ、よう参ることができたの」

「月輪の老公が、さまざまなおとりなしによって」