Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

六

(そうだ、人の来ぬ間に!)七郎は、跳びかかった。

無想になって合掌している童子の肩ごしに、むずと手をのばした。一体の像を左の小脇にかかえた。そして、もう一体の弥陀如来をつかみかけると、童子は、びっくりしたように起って、

「あれっ? ――」愛らしい叫びをあげた。そして幼子らしく、手ばなしで、わあっと、泣くのであった。

二つの像をかかえて、もう一体の像を七郎が蹴とばしたせつなである。

「おのれッ、この下司!」ぐわんと、彼の耳たぶを、烈しい掌のひらが革のように唸って打った。

「あっ――」耳を抑えながら、七郎は、横にもんどり打った。仏陀の像は、また一つ彼の手から離れ、粉々になって、元の土にかえった。

六

「大人げない奴めっ」叱咤が、頭のうえで聞えた。

七郎は、起き上がって、自分を撲った相手を見た。

十九か、二十歳か、せいぜいそんな年頃の若党である。腕を捲って、右の肩をすこし昂げ、左の手に、泣いている髫がみの童子を抱きよせていた。

「何処の青侍か知らぬが、よい年をして、なんで、稚い和子様のお作りなされた弥陀の像を足蹴にして砕いたのじゃ。それへ、両手をついて、謝れっ」こう正面を切って罵られると、庄司七郎も陪臣でこそあれ時めく平家の郎党である。