Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
二
「師の房様。おさしつかえござりませぬか」くんくんと何かのにおうそこの室の内から、親鸞の声がすぐ答えた。
「どなたか」
「西仏です。――じつは只今、私の旧友で、師の房にもとくご存じでおわしましょうが、近江佐々木の庄の住人、佐々木三郎盛綱が、なにか親しくご拝眉を得たうえで、お願いのすじがあると申し、はるばるこれまで訪ねてござりましたので、お会い下さるなれば、有難う存じますが」
「…………」何か黙考しているらしくもあるしまた、机のうえでも片づけているのか、しばらく返辞がなかったが、やがて――
「どうぞ」と、いうのが聞えた。
西仏は振向いて、三郎盛綱のうれしげなうなずきを見た。そして、静かに妻戸を引いてそこを窺うと、朽葉色の法衣のすそがすぐ盛綱の眼に映った。
(ああ多年、会いたいとお慕い申していたおん方、今こそ会えるか)と、盛綱は若者のような胸のときめきを覚えて、屈み腰に、そっと進む。
――すぐ後ろから、鈴野が短檠を持ってきて、主客のあいだへ、静かに明りを配る。――そしてこの老武者が有名な源氏のさむらいであるかと、尊敬と物めずらな眼を客に向けて、退がって行った。
時の流れはあわただしかった。