Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

「空虚な……とは、今の御主人さまや、俺たちの心だ」

「ひっそりとして、蝶も舞わぬ。堂上堂下、悲しみに沈んでいるこの春の御諒闇に、虫けらまでも、さびしさが、わかるとみえます」

「夜だ、どうしても、昼間とは思えない――」介は、道を曲がる。

その道もまた、しいんと、冷やかで、人影がなかった。

明けて――十八公麿が九歳になった春の三月中旬のことだった。

牛車のうちには、墨のごとく、沈んだ人影がみえる。養父範綱の膝にだかれた十八公麿であった。母をうしなってからの十八公麿はさらにちがってきた。面ざしすらにわかに吉光の前に似かようてきたかに見えて端麗を加えたのも変り方の一つであったし、さらに、範綱さえ、介さえ、ときどき、驚かされることは、彼の眸であった。黒く、飽くまで黒く、そして湖のごとく澄んでいる眼であった。

星を見――雲を見――風を仰ぎ――そして地上の人間が描く修羅遊戯の種々な事象に、じっと、いつも、不審をだいて考えこんでいるような彼の双眸であった。

久しく、書を教えていた叔父の宗業は、はやくも、筆を投げて、

「もう十八公麿には、あまり教えぬほうがいい」と、いったほどである。