Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

藤むらさきの袴に、うす紅梅の袖を垂れる。介は、抱き下ろして、美しい塗靴をその足にはかせた。

家計のくるしい養父の範綱が、きょうばかりは、車も飾らせ、十八公麿の小袖も沓も何から何まで、清浄で新しいものを身につけさせた。

(きょうが、この子の俗世の最後の日――)と思うてのことである。

介が、門を訪れて、僧正の在否を問うと、

「おいで遊ばします」と、寺侍が、山門から、内玄関へと、走ってゆく。

「よいお寺――」と、十八公麿は、しきりと、そこらを見まわして、他愛がない。

「よかろう、僧院は」

「ええ」うなずいて、佇んでいるそばへ、鶺鴒が下りて、花の散っている泥土の水に戯れている。

「六条どの、お通りあれ」廻廊の階に、寺僧や、侍たちが、立迎える。誰も彼も、十八公麿の愛くるしさに、微笑をもった。

「おいくつ?」と、ささやく者がある。

「九歳です」青蓮院の廻廊は長かった。そこからまた、橋廊下をこえると、さらに、寂とした僧正の院住がある。むら竹の葉がどこからか欄や蔀に青い光を投げている。鶯がしきりと啼くのである。せんかんと泉声が聞えて、床をふむ足の裏が冷々とする。僧正とは、天台六十二世の座主、慈円和尚のことである。