Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
ちらちらと眸のまえを白いものが遮って降る。手を出してもつかまらない幻のような気がするのである。心のうちにもそれに似た幻影が離れなかった。姫の黛である、唇である、黒髪である、どうしても打ち消すことができなかった、熱病のように何か大きな声でものを口走りたいような衝動がじっともの静かに立っている彼の内部を烈しく駈けまわっているのだった。
「是空、是空」うめくようにいった唇はすぐ歯で噛み縛っていた。拳を二つの胸にくみあわせて苦しげに闇へ闇へ歩みだしている。たった今、無常観の大部な話を聞いたばかりの耳は彼自身でもどうにもならない若い血で、火のように熱くなっていた。
「あっ……。粗忽をいたしました。どなた様か、ごめん下さいまし」先で早くも避けたが、肩の端をぶつけてしまった。それは、盲人の峰阿弥の声であった。
七
「オ、最前の琵琶法師どのか」
「あなたは、範宴僧都でいらっしゃいますな」
「そうです」
「よい所でお目にかかりました。ちと、話したいと思いますが」
「私に」
「いけませんか」
「なんの、どうせこうしている折です」峰阿弥は寄り添って、
「私の今夜の琵琶は、お聞きづらかったでございましょう」