Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
すると、せっかく骨を折って拾った銭が紛くなっていた者だの、笄を抜かれている女だの、袂を刃物で切られている者だのが数名あって、
「泥棒がいる。この中に泥棒がいる」と、あちらこちらから騒ぎ立てた。無数の眼はついに紛れこんでいる人間を調べ出して追いかけた。群れを離れて逃げてゆく風態のわるい男が二人、鏡ヶ池のふちから山の中へ逃げこんでゆくのだった。兇器を持っていることは分りきったことなので、誰も山へまでは追っては行けなかった。
二人の悪者は山歩きには馴れているらしく、衣笠の峰づたいに千本へ出て、やがて蓮台野の枯れた萱の中を半身も没しながらざわざわとどこかへ歩いてゆく。
「寒いっ」
「ウウ寒い」悪者はそんなことしかつぶやき合わなかった。毎日の平凡な仕事をして当り前の稼ぎから帰ってくるのと変りがない。
やがて、土民の家らしい一軒の家の戸をたたいて、
「俺だ、開けてくれ」という。
野の上には雪にもならず低迷している冬雲が暮れかけていて、鳥が、風の中の木の葉みたいに飛ばされている。
「蜘蛛太か」
酒を飲んでいる炉べりの者たちが戸口へ振りかえった。
三
「蜘蛛太じゃねえ、俺だよ」