Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
三
大きな決意を抱いて一歩一歩に運ぶ足だった。
「や、範宴じゃないか」杉林の小道から出て来た四、五名の学僧たちが、眼まぜで、囁き合いながら摺れちがって、
「うふふ……」手で口を抑え、次にすぐ、
「あははははは」と大きく笑った。
範宴はふり向きもしない。ただこの山の人間と黒谷の人々との持っている心の平常にいちじるしい差をすぐに感じただけであった。かほど森厳な自然と、千年の伝統をもっている壇には、なんらの仏光を今日の民衆にもたらさなくて、市井の中のささやかな草庵の主から、あのような大道が示されているのは、何という皮肉であろうと思った。
(奇蹟が事実にある)範宴はやはり今の世に生れてよかったと思う。今の世に生れなければ、あの奇蹟は見られないのである、法然御房にも会えないのである。安居院の聖覚法印は、やはり嘘をいわなかった。
彼の心は急いできた。といっても、先ごろのような焦躁では決してない。いそいそと明るいほうへ心は向いている。
大乗院へもどると、彼はすぐ麓へ向けて使いをやった。使いは、青蓮院と、聖光院へまわった。
この一年ほど、まるでたましいのない廃寺のように、寂として、憂暗のうちにあった聖光院と、そこに留守をしていた人々は、思いがけない師の書状を手にすると、