Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
岡崎の家
一
冬空の星を仰いで、吉水から帰ってくると、いつも夜はかなり遅くなった。それから薪をくべたり炊ぎをしたりするので、寂として独りで粥をすするころには、もう、洛内のすべての灯が消えて、天地の中には、ここに粥をすする独りの彼のみが起きているのではないかと思われるような時刻になってしまう。
「はての? ……」ある日の夕方である。
綽空は、草庵の戸を開ける前に、ふしぎな思いに打たれて辺りを見まわした。
今朝、草庵を出る時は、落葉で埋まっているほどだった門口が、きれいに掃かれていて、しかもその落葉まで一所に集めて焼いてある。
裏へ廻れば、水桶には水が汲みたたえてあるし、板敷も拭き潔めてあるではないか。また、屋内へ入って見てから、綽空はさらに眼をみはってしまった。
燭の灯皿には、油がつぎいれてあって、付木の火を移せば足りるばかりになっているし、夕餉の膳までもそこにできていた。
「誰であろう」と、考えこんだ。
この草庵へ移る時に、実直に手伝ってくれた近くの農家の夫婦か――でなければ聴法の席へ来るうちの信徒の者か。
「いぶかしい」誰を挙げてみても、思い当る者はなかった。同時にまた、その人の思い出せないうちは、この夕餉の箸も、取ってよいか悪いかに迷わずにいられない。