Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
(――すべてこれ仏陀のわれに飾りたもう七宝珠玉)と、甘んじてうけている風であった。
さて。式の翌る日からは、貧民への餅撒きやら、施粥やら、寺院への勧進やら、それも済むと、新郎新婦は、やがて、新しい愛の巣へ、二人だけで移って住むことになった。
ところが――、かほどな財を費やしながら、かんじんな若夫婦の住む家は、べつに、新しく普請されてもいなかった。場所は岡崎の松林のうち――家は、綽空がいなければ、栗鼠が畳を駈けているあの岡崎の草庵なのである。
それも、屋根葺一人、入るではなく、まったく、元のすがたのままに。
「あれでは、新妻が、お可哀そうじゃよ」
「月輪殿は、いったい、何のために黄金をお費いなされたのか、どういう量見なのか、とんと、分らぬ」と、知己の者は、首を傾げた。
誰にも、わかろうはずはない――綽空と、玉日と、その父のほかは。
新妻が、身と共に、そこへ持って行った荷物といえば、一荷の衣裳と、髪道具と、そして、一輛の輦だけであった。その輦だけは、さすがに、今度の儀式に新調した月輪殿の好みのものだけあって、綺羅を極めた物だった。松林の中にそれを置くと樹洩れ陽に、螺鈿や砂子や緋の房がかがやいて、妖しいほど美しいのであった。