Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
――松虫といい、鈴虫という名も、局名とすれば、うなずける。
「――鈴虫様、これからどこへ行きますか」
「さ? ……どこでも」
「御所へ帰るのは、まだ早いし……」と、焦げるような空の陽を仰いで、
「なんだか、少しの刻でも、惜しい気がしますものね」
二
「せっかく、きょう一日、お暇をいただいたのですから、日いっぱい、歩けるだけ、歩いてみようではありませんか」年下の鈴虫は、そういって、羅の被衣に、埃まじりの風をなぶらせながら、子供っぽく、走ってみたり、道ばたの清水を、手で掬ってみたり、
「おお冷たい!」そして――
「飲めないかしら?」と、愛くるしい首をかしげて、友を見た。
「ホホホホ。誰も見ていないから、どんなことして飲んでも、笑う人はありませんよ」松虫がいうと、
「じゃあ」と、鈴虫は、手でそれを掬って、唇から顔を、雫で濡らし、その顔を、被衣の端で拭いた。
そんなことが、二人には、わけもなく楽しかった。御所の日常が――禁裡の後宮生活というものが――まったく儀式化され、粉飾化され、そこに生きるものは、ただ、美しくて作法のよい人形のようでしかなかったので、二人は、野の土へ、解放された羊のような欣びを、感じるのだった。