Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
万野は、玉日の前が未婚のころから侍いていた忠実な侍女であった――親鸞のまだ若い日の事どもを何かとよく知っている女であった。
「……万野も老けてきたことよ」と、親鸞はふと自分の若い日を胸に忍び浮べた。万野はふと振りかえって、
「まあ!」と、親鸞のすがたを見あげた。そしてなつかしげに、
「お変りものう」と、走り寄った。すぐ語尾は涙にかすれてしまうのであった。親鸞は手を取って、
「――はるばると、この遠国へ、さてもよう参ったのう。疲れたことであろう、ともあれ、体をやすめたがよい」と何も問わずに、ふたりの労をいたわった。
四
室は明るかった。
都から来た二人の女性の客をそよそよ吹いて、春のにおいを持つ微風が、静かにそこへ坐った親鸞との間を通って、裏の竹林をそよがせる。
「――まず何より先に承りたいのは、師の法然御房の御消息、月輪のお館へは、讃岐の上人より折々のおたよりもあろう、その後のご様子はどうおざるか……。お変りもおわさぬか」親鸞は訊ねた。
埃にまみれた髪を梳き、旅衣の腰紐を解いて、彼の前に坐った万野と鈴野の二人は、
(なにから先にいおう)と、胸がつまってしまったように、ややしばらくの間、俯目に指をつかえていた。