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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

六

ガラリと、手の弓を投げ捨てて一散に麓へ向って駈けて行った。

すでに、怯気に襲われ、最初の気勢を失ってしまった他の山伏たちは、呆っ気にとられて、魔王弁円のすさまじい後ろ姿を、ただ見送っている。

板敷山から三十余丁を、弁円は、一気に駈けてしまった。火焔のような息をきって、彼方に見えた灯影へ向って近づいて行った。

「――ここだな」

稲田の庵室と見るや否、弁円は、柴の折戸を土足で蹴って、案内もなく、つかつかと庭の闇へ駈け込んだ。そして、仁王立ちとなって、

「親鸞はおるかっ」と、呶鳴った。

こよいは村の者も寄っていなかった、いやもう夜も深いので、それらの者も帰り、禅房の弟子たちも室に眠り、親鸞の妻子も夢の中に入っているのかも知れない。

寂として――庵室のうちは静かなのである――ただ短檠の一穂の灯が、そこの蔀簾のうちで夜風に揺れていた。

満顔を汗に濡らし、声は百雷の墜つるように弁円は、全身を怒気に満ちた瘤にして再び呶鳴った。

「親鸞はおらぬかっ、愚禿はどこにおるかっ。すでにここに立ち帰っておろうが。常陸一国の修験の司、播磨公弁円が、破戒無慙の念仏売僧に、金剛杖の灌頂をさずけに参った。