Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

「――お内儀、ちょっと、お待ちなされ」と、親鸞は今までことばをかけたことのないその女に向って、初めてその日、こう声をかけた。

二

思いがけなく、上人にこう呼びかけられると、女は、冥加におののいて、

「は、はい……」と、綿のようにやわらかに、そのまま、ひれ伏した。

「同行衆は、もはや皆、おもどりなされた。おさしつかえなくば、もすこし、話して行かれぬか」

「もったいないお言葉でございまする」

「そう、堅うならずともよろしい。親鸞は、誰とも親しい仲じゃ、お寄りなされ、隔てのう、もそっと、こちらへお寄りなされ」

「はい」

「お内儀。――お帰りは遠いのでおざるか」

「河和田の者でござります」

「それでは近い……。して、主どのは?」

「平次郎と申しまして、柳島の御造営に働いている大工でございます。わたくしは、平次郎の女房で、吉といいまする」

「ほ……平次郎……。あの酒ずきでよう喧嘩をする男のお内儀か」

「さようでございまする」お吉は、顔をあからめて、聞き取れないような小さい声になった。

「ようお上人様にも、良人のひとの噂をお聞きでございましょうが、おそろしい一徹者のうえに、大の念仏ぎらい。