Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

た。

「……もし、枕を、枕を」お吉は、酒顛童子のようになって寝入った良人を、怖々とのぞいて、そっと、その顔を木枕へのせてやり、足の上へ夜の具をかけて、ほっと自分に回った。

それから、勝手元の片づけものを済まし、それが片づくと、土間の機織台の前に腰をかけた。

松の根を焚いて、お吉は、それから夜のふけるまで、あしたの良人の酒代を稼ぐのであった。自分の体に生傷をこしらえたり、苛責の毒舌をあびせる酒を、寝ずに働いて、求めなければならなかった。

――だが、そうした不合理な苦役も、しんしんと夜が更けて、涙もわすれ、愚痴もわすれ、心に念仏を置いて、一念に筬をうごかしていると、その筬の音は、いつか自分のかなしみを慰める音楽のように、一つの諧調を持って、苦役も苦役とは思わなくなってしまう。

「そうだ……こんな時に」彼女は、そっと奥をのぞいた。良人の鼾を聞きすまして、彼女は、肌着の奥から何か大事そうに取り出した。――それはいつか稲田の親鸞上人が、彼女のために書いてくれた六文字の名号であった。お吉はそれを、良人の眼をしのんで、小さな軸に仕立て、自分の心のまもりとして常に肌に秘めていた。