Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
すると、日除笠で顔を縛った旅人は、ついと、彼のそばへ寄ってきて、文覚の肩をたたいた。文覚は、じろりと眼を向けて、
「おう。堀井弥太か」初めて、驚いたらしい顔をして手をのばした。
弥太と呼ばれた旅の男は、なつかしげに、握り合った手を、なぜか急に離して、
(しっ……)と、眼じらせをしながら、路傍へわかれた。
さっきの赤直垂の小僧が、ちんと、手洟をかみながら、二人のあいだを、威張って通って行った。そして、小馬鹿にしたような眼を振向けて、ヘヘラ笑いを投げた。
旅商人は、その眼へ、わざと見せるように、ふところ紙を出して、銭をつつんでいた。そして、文覚の手へ、
「御寄進――」といって、渡した。
「や」文覚は、真面目に受けとって、押しいただいた。
「一紙半銭のご奉加も、今の文覚には、かたじけない。路傍にさけんでも、人は、耳をかさず、院の御所へ、合力をとて願いに参れば、犬でも、来たかのように、つまみ出される……」
旅商人の堀井弥太は、先へ、足を早めながら、
「磧へ」と、顎をしゃくって、見せた。
頷きながら、文覚は、てくてくと後からついてゆく。牛の糞と、白い土が、ぽくぽくと乾いて、足の裏を焦くような、京の大路であった。