Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
去来篇
大和路へ
一
(あの主従は、何を食べているだろう?)と思いやった。
しかし、それから、七日すぎても、十日過ぎても、土牢を破った者が捕まったという噂は聞えてこなかった。
叡山には、夏が過ぎ、秋が更け、やがて雪の白い冬が訪れた。
雪に埋った一乗院の窓からは、どんな寒い晩も、四教義を音読する範宴の声が聞えてこない晩はなかった。
去来篇
大和路へ
一
大自然のすがたには、眼に見えて、これが変ったということもないが、人間の上にながれる十年の歳月には、驚かれるほどな推移があった。
建久二年の年は、範宴少納言がこの東塔の無動寺に入ってから、ちょうど九年目に当たる。
彼は、十九歳になった。白衣を着て、黒い袈裟をかけて、端麗で白皙な青年は俗界の塵の何ものにもまだ染まっていなかった。処女のように、きれいであった。
「何と気高いお姿だろう」と、その九年の間、一日も離れることなく侍いている性善坊ですら、時には、見惚れることがあった。
背は高く、肩幅もひろいほうであった。無動寺の奥ふかく閉じ籠っているのが多いので、色は白く、唇は丹のようであった。眉は濃く太く、おそろしく男性的である。ことに、きっと一文字に結んでいる口もとには不壊の意志がひそんでいるように見えた。