Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

このつい近くであったはずの六条の範綱の館はどこだろう。跡かたもない幼少のころの家をさがし廻って、範宴は、ここでもまた、憮然とした。

「きれいなお坊んさんと、お供の方――」黄いろい女たちの声が、家々の窓や垂れ布の蔭から、しきりと、呼びぬくのであったが、自分が呼ばれているのであるとは二人とも気がつかない。

で、なお、狭い露地へまで入って行こうとすると、低い檜垣の蔭から、

「いらっしゃいよ」と、白い手が法衣の袂をつかんだ。範宴は、眼をまろくして、

「なにか御用ですか」女は、白い首を二つそこから出して、

「あなた方は、何を探しているんです」

「六条の三位範綱さまのお館を」

「ホ、ホ、ホ。……そんな家は、もう一軒もありませんよ。ここは、遊女町ですからね」

「え。……遊女町」

「往来から見れば分りきっているじゃありませんか。お入りなさいよ」性善坊が横から、

「馬鹿っ」と叱って、範宴の袂をつかんでいる女の手を、ぴしりと打った。

四

「よくも人を打ったね」遊女は、怒った。

性善坊も怒っていった。

「あたりまえだ」

遊女はまけずに、

「人を打つのが当りまえなら私も打ってやる」と手を出して、性善坊の横顔を打つ真似したが、性善坊は顔を避けて、