Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
四
と範宴は、霜を踏んだまま、凍ったように、唇の色を失って、梢のいうのを聞いていた。
四
なお仔細に事情を訊くと、弟の朝麿は、梢と逃げてくる旅の途中風邪をこじらせて、食物もすすまぬようになり、この附近の木賃旅籠に寝こんでしまって、持ち合せの小遣いは失くなるし、途方にくれているところだというのである。
「では……弟はわしに会いたいというて、おもとを使いによこしたわけか」
「ええ……」梢は、打ち悄れたまま、
「いっそ、二人して死んでしまおうかと、何度も、刃物を手に取ってみましたが、やはり、死ぬこともできません」と、肩をふるわせて泣き入るのであった。
無考えな若い男女も、途方に暮れたことであろうが、より以上に困惑したのは範宴であった。
まず第一に思いやられるのは、髪をおろして、せっかく、老後の安住を得た養父の気持だった。次には、生来、腺病質でかぼそい体の弟が、旅先で、金もなく、落着くあてもなく、これも定めて悶えているだろう容子が眼に見える心地がする。病のほども、案じられる。
「どこですか、その旅籠は」
「ここから近い、小泉の宿端れでございます。経本を商ぐ家の隣で、軒端に、きちんと板札が、打ってあります」